海技免状・操縦免許証とは
海技免状とは
総トン数20トン以上の船舶の職員になるには、「海技士」という国家資格が必要です。その資格を証明するものを「海技免状」といいます。 海技免状は1級から6級(無線部は1級から3級)まであり、それぞれの免状によって運航できる船や職務などが決まります。つまり、その船がどの海域を航行できるかという航行区域(遠洋区域、近海区域、沿海区域、平水区域)、船の総トン数、エンジンの出力等によって、その船の職員の資格が定められているのです。 安全に運航するために、海技士にも職務上の区分があります。基本的には甲板部、機関部、無線部に分かれ、各部門の職員(船長・航海士・機関士・通信長等)及び部員がそれぞれの仕事にたずさわっています。
操縦免許証とは
総トン数20トン未満の船舶を「小型船舶」といい、これらを操縦するために必要な免許証を「操縦免許証」といいます。
操縦免許証には「一級」、「二級」、「特殊」の3区分があり、エンジンを装備している船(モーターボート等)を操縦するには「一級小型船舶操縦免許証」または「二級小型船舶操縦免許証」を、水上オートバイを操縦するには「特殊小型船舶操縦免許証」を持つことが義務づけられています。
また、二級には「湖川小出力限定」の区分があり、エンジン出力は15kw未満(約20馬力)とされています。
*小型船舶は総トン数20トン未満の船舶のことですが、
総トン数20トン以上のプレジャーボートでも、次の全ての要件を満たしているものは小型船舶に含まれます。
・一人で操縦を行う構造であるもの
・長さが24メートル未満であるもの
・スポーツ又はレクリエーションのみに用いられるもの(漁船や旅客船等の業務に用いられないもの)
操縦免許の種類
一級小型船舶操縦士 | 操縦できる海域は無制限です。ただし、エンジン付きの小型船舶が沿海区域の外側80海里(約150キロメートル)以遠を航行する場合には、六級海技士(機関)以上の資格者を乗り組ませなければなりません。 |
二級小型船舶操縦士 | 海岸から5海里(約9キロメートル)までの海域を操縦できます。なお、18歳未満の方は操縦できるボートの大きさが5トン未満に限定されます。(18歳に達すると、特に手続きしなくてもこの限定は解除され、限定の無い免許証となります。) |
二級小型船舶操縦士 (湖川小出力限定) |
湖や川だけに利用する総トン数が5トン未満、エンジンの出力15キロワット未満の船を操縦できます。 |
特殊小型船舶操縦士 | 水上オートバイを操縦するために必要な免許証です。湖岸や海岸から2海里(約3.7キロ)までの水域で操縦することができます。 |
小型船舶操縦者の遵守事項
小型船舶の船長は、航行の安全のため、次の事項を遵守しなければなりません。
1. 酒酔い等操縦の禁止
飲酒等の影響により、注意力や判断力等が著しく低下しているなど、正常な操縦が出来ないおそれがある状態で、 操縦してはいけません。
2. 免許者の自己操縦
次のような場合には小型船舶操縦免許証を持っている人自らが船を操縦しなければなりません。
- ○水上オートバイを操縦するとき(全ての水域)
- ○ボート等で港則法の港内や海上交通安全法の航路内を航行(横断を含む)するとき
3. 危険操縦の禁止
遊泳区域への不用意な進入や遊泳者等の付近で航行するなど、危険のおそれのある操縦は禁止されています。
4. 救命胴衣などの着用
次の場合は、救命胴衣(ライフジャケット)等の着用が義務付けられています。
- ○水上オートバイに乗船する者
- ○12歳未満の子ども
- ○単独乗船の漁船で漁労作業をする者
また暴露甲板に乗船している人には、船長は救命胴衣を着用させるように努めなければなりません。
5. 発航前の検査の実施
発航前には、航行の安全に支障をきたさないよう、燃料やオイルの量の点検、気象・水路情報等の収集、船体の状態等の検査を実施しなければなりません。
6. 見張りの実施
航行の安全を確保するため、周囲の水域の状況や他の船舶の動向等を十分に判断することができるよう、 常時適切な見張りをしなければなりません。
7. 事故時の対応
事故が発生したような場合には、人命救助に必要な手段を尽くさなければなりません。
※これらの遵守事項の内、1から4に掲げる事項に違反をし、一定の基準に達した場合には、6ヶ月以内の業務停止等の行政処分を受けることとなる場合があります。なお、このような場合、再教育講習を受講するとこの行政処分が免除又は軽減されます。